【銘柄分析】電源開発(9513):魅力欠点ともに大きい電力卸

本記事は銘柄に対する記載も含みますが、投資を推奨するものではありません。
また、本記事の内容は投稿時のものとなるため企業データの最新情報と異なる可能性があります。
あくまで自己判断での投資をしていきましょう!

今回は電源開発(J-POWER、Jパワー)です。

会社の正式名称としては電源開発なのですが、コミュニケーションネームとしてJ-POWERを名乗っています。

インフラ企業として高い利回り、安定性を誇っており、海外展開・再生エネルギー部門では国内ではピカイチです。

一方で事業の中心は石炭火力発電であり、青森県の大間原発が稼働できないまま毎年多額の費用がかかっています。

強みもはっきりしているが弱みも際立つ会社で非常に判断が難しい会社ですが今回分析していきます。

電源開発の事業概要

会社名電源開発
業種電気・ガス業
特徴日本最大の卸電気事業会社で、発電した電気を電力会社に供給しています。
水力・火力発電といった従来型の発電だけでなく、地熱・風力・バイオマスといった再生可能エネルギー発電も行っています。海外でもアメリカや中国などで発電事業を行っており、利益の4割が海外事業となっています。
また、青森県に大間原発を建築中です。
株価(投稿日時点)1746円
配当月3,9月

 

発電量の4割程度が石炭火力による発電となっており、30年以上稼働している低効率の石炭火力発電所も多いです。

二酸化炭素排出に対する逆風や非効率性から、他の発電方法への切り替えが急務となっています。

 

一方で再生可能エネルギーへの投資は積極的であり、2030年には二酸化炭素排出量を4割削減する方針が出されています。

このような働きもあって、全世界でESGについて優れた対応を行っている企業を構成銘柄としているESG投資指数「FTSE4Good Index Series」の構成銘柄にも選ばれています

 

また、現在建設中の大間原発ですが本来であれば2014年には稼働予定でした。

しかし2011年の東日本大震災により原発に対する逆風が激しくなり現在稼働開始は未定となっています。

 

電源開発の総合評価:97.90ポイント(18位/2824社中)

石炭火力発電への依存度も影響して株価は低く、利回りが高い。
ESG銘柄として今後の成長も期待できるが原発が足かせ。

株価は右肩下がりであり、最近株価が値上がりしているもののまだ利回りは4.3%となっています。

やはり低効率石炭火力発電に発電の多くを頼っている現状もあって不人気なのではと思われます。

しかし世界的なESG銘柄として認められていることもあり、今後は脱炭素化に向けて期待されている銘柄です。

 

ただ気になるのは大間原発。

電力不足や脱炭素化の追い風はありながらも原発への抵抗は根強く、いつ稼働できるかまったく見通しがたっていません。

それどころか、安全対策として毎年多額の費用がかかっています。

今後も2022年から2027年の5年間で約1300億円の工事費が見込まれており、2021年3月期の営業利益が約778億円だったことを考慮すると1年で利益の1/3が稼働できるかわからない原発の安全強化対策に使われています

 

新しく発表された中期経営計画でも、大間原発が稼働できることを前提にした計画となっており、まだまだ動かない原発の足かせは外れそうにありません

 

電源開発の配当のポイント:今の利回りはどうか、今後増配しそうか?

利回りは高いが今後増配できるかは不透明。

配当指標への考え方はこちらに記載しています。

みのかぶ家計簿

先日KDDIの銘柄分析について投稿してみました。 今後も似たようなかたちでいろいろな銘柄について書いてみようと思っていま…

利回り(投稿日時点)4.30%
配当推移(2016年~)70円(2016)→70円(2017)→75円(2018)→75円(2019)→75円(2020)→75円(2021)→75円(2022予想)
2016年からの増配率+7%
2018年からの増配率±0%
配当姿勢安定配当(配当性向30%目安)

短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30%を目安に、利益水準、業績見通し、財務状況等を踏まえた上で、安定的かつ継続的な還元充実に努めてまいります。
(2021/04/30 J-POWER 中期経営計画2021-2023年度より)

 

中期経営計画では2023年度に経常利益を900億円以上とする目標が発表されておりこれが実現できれば十分に増配は可能です。

しかし、前回の中期経営計画で目標となっていたJ-POWER EBITDA(営業利益+減価償却費+持分法投資損益)2100億円以上の目標も、結果として1769億円と未達であり、2015年度~2017年度の3カ年平均で1,867億円だったところからむしろ後退しています

コロナショックや電力価格高騰といった問題はあったとはいえ、新しい中期経営計画が実現できることを前提として投資できるかというと難しいと思われます。

脱炭素化の流れで長期的には業績がよくなると考えたとしても、直近数年については増配は期待できない前提で考えておいたほうがいいかもしれません

 

 

電源開発の財務のポイント:業績が悪化しても事業を継続できるか、配当を維持できるか?

自己資本比率は低いが、計画上もうすこし高める方針。
投資が膨らんでいるものの営業キャッシュフローは黒字。

財務指標への考え方はこちらに記載しています。

みのかぶ家計簿

銘柄選定の重要ポイント第2弾です。 第1弾の配当についての解説は以下をご覧ください。 目次 1 財務のポイントとは?1.…

営業CFここ10年で赤字なし。
フリーCFここ10年で6回赤字あり(2012-2014,2017,2019-2020)。
自己資本比率28.5%
配当性向61.6%

 

自己資本比率は低い水準ですね。

有利子負債倍率も低くなく、財務はあまりよくありません。

 

主な競合他社の自己資本比率は以下のとおりです。

中国電力:19.4%

北陸電力:21.2%

中部電力:35.7%

 

電源開発の成長性のポイント:今後事業が成長しそうか?

緩やかな右肩上がり。

成長性指標への考え方はこちらに記載しています。

みのかぶ家計簿

銘柄選定の重要ポイント第3弾です。 第1弾の配当についての解説、第2弾の財務についての解説はそれぞれ以下をご覧ください。…

過去3年間の売上成長(1年あたり平均)2.1%
過去3年間の純利益成長(1年あたり平均)-2.2%
過去3年間の営業利益率8.8%

 

2021年3月期決算では、電力市場価格高騰による特別損失が大きく純利益が大きく減りました。

しかし、それを差し引くと緩やかに成長はしています

 

 

電源開発の割安度合い:今の株価は割安か?

割安銘柄。

ポートフォリオ運用する上での補正の考え方はこちらに記載しています。

みのかぶ家計簿

銘柄選定の重要ポイント最終回、ポートフォリオ構築のための微調整編です。 第1弾の配当について、第2弾の財務について、第3…

PER(時価総額÷当期純利益)9.4倍
PBR(時価総額÷純資産)0.39倍
ミックス係数(PBR×PER)(※)3.666

※ベンジャミン・グレアム氏が提唱した指標で、企業のBS・PL両方の観点から企業の株価の割安性を見極める指標で低いほど割安となります。
グレアム氏が割安としていた目安は22.5です。

競合となる会社で言うと以下のような数値です。

中国電力:PER 29.3倍、PBR 0.67倍、ミックス係数 19.631

北陸電力:PER 27.6倍、PBR 0.41倍、ミックス係数 11.316

中部電力:PER 10.5倍、PBR 0.49倍、ミックス係数 5.145

 

その他:景気影響は大きいか、セクター的には積極的に購入すべきか。

景気動向に関わらず電気は必要。

業種:電気・ガス業

景気敏感株か:×

 

電源開発の株価:含み損益はどうなるか?

ESG銘柄として認められるも株価にはあまり影響なし?
上場以来最安値圏内。

<過去1年間のチャート>(TradingViewより)

<上場以来のチャート>(TradingViewより)

途中何度か株価が上がっている点はあるものの、上場以来で見てもかなり安くなっています。

2021年3月期決算が前期実績、今期予想ともにかなり悪かったのでGW明けにはさらに下がる気もしており、上場以来最安値が視野に入るかもしれません

 

とはいえ利回りが高いこと、もしかするとESGであったり海外展開であったりで今後成長する可能性があることから買って損はなさそうかなとも思います。

 

おわりに

ESG、海外展開の面では非常に魅力が大きい電源開発です。

しかし、現状石炭火力発電の割合が大きいことや大間原発が稼働できない点でマイナス要素も目立ちます。

割安だしインフラだしこれ以上あまり下がることもないだろうという観点で買っておく分にはいいものの、やはりポートフォリオの主力にすることは難しいですね。

 

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