配当利回り1位に利回り32%超が新登場。一体何が?

ほぼ毎日1回は以下のツールを使ってYahoo!ファイナンスの配当利回りランキングを確認しています。

みのかぶ家計簿

自分向けに作ったものなので、クオリティはすごく低いのですがせっかくなので公開します。 一部データが表示されない銘柄もある…

 

昨日までは1位はずっと自社ビル売却による配当を実施したエイベックスでした。

それが本日3/23、利回り32.43%というとんでもない利回りの会社が1位になりました。

日本アジアグループという会社です。

ここ3年1株配当が10円の会社が突然300円になっています。

先に断っておきますが、これから購入してもこの300円の配当を受け取ることはできませんので投資はおすすめしません

 

なぜこんな利回りに?

まずはこのような状況になったことの経緯から解説します。

具体的な内容まで書くとかなりの長さになるのと、そこまで私が理解できているかというとNoなので簡単にまとめるだけとさせてください。

0.日本アジアグループとは?

まずは前提として、今回の主役である日本アジアグループについての説明です。

測量やグリーンエネルギーが主力の会社です。

時価総額は257億円で、連結では4700名以上の従業員もいる会社です。

 

1.MBO発表(2020年11月)

現在東証1部に上場している日本アジアグループですが、株式非公開を目的としたMBOを11月に発表しました。

MBOとはManagement Buyoutの略で、企業の経営陣が既存株主から自社の株式を取得し、オーナー経営者となる行為を指します。

通常の株式会社では会社は株主から投資された資金をもとに事業を進めるため、会社の持ち主としては株主であり経営陣は株主からよりよい業績のために経営を任されている存在と言えます。

この状態では、経営者はどうしても業績の向上を最優先にするよう求められるため、大規模な事業再編をするうえで株主の判断に時間がかかるなどスピード感のある行動がとりづらくなります。

株主からすれば短期的なものであっても業績にマイナス影響のある経営判断は認められないためです。

そのため、株式非公開とすることで動きやすくするというのがMBOの目的です。

 

今回の日本アジアグループでもそういった目的のもとでMBOが発表され、当時の株価は350円程度だったのですが、1株あたり600円での公開買付を発表しました。

市場で売れば350円の株が600円で買い取ってもらえるわけですから株主としては多少方針に異論があっても文句はないだろうということですね。

MBOが実現しなかった場合には600円での買付も実現しないという前提でTOBが開始されました。

 

2.シティ社による840円での公開買付発表(2021年1月)

ここで別の会社が登場します。

シティインデックスイレブンス(以降シティ社)という会社で、旧村上ファンド系の会社です。

村上ファンドというのは「物言う株主」として有名な投資ファンドで、簡単にまとめると「株主の利益をより優先させる」ように社会に対して発信しています。

会社である以上より効率的に業績を上げて株主にしっかり還元することで社会全体にとってもベストなかたちになるという考えです。

2020年以前に日本アジアグループに対してどのように考えていたのか、そもそも知っていたのかすら正確なところは分かりません。

しかし、シティ社としては「株主の存在が邪魔なので株式非公開にすることで経営がよくなる」といった考え方は許容できないものです。

敵対的TOBとしてMBOでの買付価格である600円を大きく上回る840円での公開買付を発表しました。

投資家からすれば、単純な損得勘定だけで考えるとシティ社に売却した方が儲かる状況になりました。

 

3.公開買付価格の上昇

このままでは投資家はより価格の高いシティ社に株式を売却してしまいMBOは実現できません。

シティ社の動きに対抗する形でMBOを実現させたい日本アジアグループとしては1/26に公開買付価格を1200円に引き上げました。

再び「経営陣に売却した方が得する状況」にすることでMBOを実現させようとしたわけです。

しかし、シティ社も2/4に1210円に引き上げました。

 

4.MBO失敗から特別配当へ

シティ社の動きもあり、MBOは失敗に終わりました

しかしこのままでは口うるさい存在であるシティ社が大株主となり今後の経営はこれまで以上にやりづらくなることが予想されます。

実際に3/17時点でシティ社は日本アジアグループの筆頭株主になっています。

そこで3/1に「3/18時点で株式を保有している場合に1株当たり300円の特別配当を実施する」といった発表がされました。

配当金の総額は80億円以上となり、会社に蓄えられていたキャッシュの半分近くを配当として支払うことになります。

会社の価値としては1株あたり300円の特別配当分がなくなることになるため、シティ社はそのままTOBを進めると損失につながります。

 

最終的にどうなるかは分かりませんが、ここまでが利回り32%超になった経緯です。

改めてまとめると以下のとおりです。

1.経営陣によるMBO発表

2.シティ社によるMBO対策のTOB

3.MBOが成立しなかった中で、買収対策として特別配当を実施

 

個人投資家としての教訓

TOB自体は泥沼になっているもののどちらに転ぶかは分かりません。

経営陣とシティ社のどちらが正しいかを考えるのも非常に難しい問題です。

 

ただ、ここからは教訓の話です。

大きく2点考える点があると思っています。

1.会社の価値は自分で見極める

「会社である以上より効率的に業績を上げて株主にしっかり還元することで社会全体にとってもベストなかたちになる」という考え方は筋が通っています。

経済の中で利益を追求することは正しい行動であって、株主がいない方がより利益を追求できるというのは投資家として確かに気持ちのいいものではありません。

 

しかし、個人投資家レベルでは深く会社のことについて理解できていないこともまた事実です。

配当利回りが高いからという理由だけで買っている人もいれば、業績の数字だけで判断している人もいます。

私自身もなるべくいろんな指標を見て判断しようとはしているものの、基本は業績や財務、配当の数字だけで判断してしまっていることが多く今後の事業計画も含めて正確に理解して投資判断ができているとは言えません

そんな中で、「今の株価よりも30%高い価格で買います」と言われると売ってしまうケースが多いでしょう。

自分がその会社の適正株価を見極められていないのであれば、今の株価よりどれくらい高く買ってもらえるかでしか判断ができないためです。

もし「この会社の株は800円の価値がある」と思っていれば600円のTOB価格は無視できるでしょうし、シティ社によるTOBも買収が成功したとして会社の価値が800円以上になるかどうかを考えることができるはずです。

 

今回の特別配当は会社にとってもプラスになる話ではなく、あくまでシティ社による買収を失敗させるための対策です。

当初の計画にない純利益の50倍以上の配当など、会社・株主にとってはマイナスにしかなっていないはずです。

会社の価値をきちんと理解した株主が増えればTOBが発表されても金額以外の面できちんと判断して、このような無茶な行動は避けられるのではないでしょうか。

 

2.利回りだけで飛びつかない

こちらは新しく分かったという話ではなく改めての話ですね。

現在証券会社で見える利回りの数字も、300円の特別配当に対して計算されているため利回りは「32.43%」となっています。

来期の配当予想が出るまではこの数字は変らないでしょうし、経営陣としてはもともとはMBOによって株式非公開にするつもりだったわけで来期の配当予想もすぐには出てこないでしょう。

しばらくは利回りランキングのトップは変わりませんが、来期この水準の配当が出ることはありえません

 

配当が高いというだけで深く調べずにこういった銘柄を買わないようにしていきたいですね。

このブログの銘柄分析記事の中でも、このような銘柄に対して誤った評価をしないようしっかりと調べて書こうと思います。

 

おわりに

今回は利回りランキングトップに突然現れた日本アジアグループから教訓を考えてみました。

教訓としては以下のとおりです。

1.会社の価値を自分で考えて見極める(適正株価を考えよう)

2.利回りだけで飛びつかない

 

その会社の妥当な株価がいくらかを考えることは非常に難しいのですが、少しずつ自分なりの指標を持てるように勉強していこうと思います。

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